リーディングドラマ「登美子と晶子と鉄幹と」」

 2017年10月7日(土) 彩の国さいたま芸術劇場小ホールにて
 第13回《声の会》公演を上演しました。
 
 構成・演出 浅川安子  
 美術     辻   憲(画)
         長塚靖史(デザイン)
 制作     中村淳子

 技術協力  (財)埼玉県芸術文化振興財団事業部



明治 そして今

 私たち≪声の会≫は去年樋口一葉の世界を舞台化したのだったが、お峰にしろお関にしろ、日本髪の旧秩序の中であえぐしかない女たちだった。一葉は旧世界の最終走者だったのだ。そして今回、与謝野晶子。「みだれ髪」と名付けられるごとく、多すぎる髪はふり乱れ、乱れながら近代のトップを走った。その二人がたった6歳違いのことに、明治という時代の展開の早さを思う。
 山川登美子と晶子もまた対照的な人生を生きた。一方が旧藩武士の父親に大事に育てられた北陸出身者、一方が堺の街で文人風の父と働き者の母のもと、商家の気風の中で育った娘というのが大きな分かれ目だったような気がする。
 鉄幹の父はお坊さんだった。鉄幹と晶子の夫婦もまた、際立った対照性を見せるのだが・・・。
 登美子と晶子と鉄幹と。日本髪と束髪と断髪と。ロマン主義と写実派と自然主義と。母性と自立と教育と。明治はぐるぐると動いている。
 きっと、後から振り返れば、私たちの生きるこの今も、ぐるぐる ぐるぐる動いているのだろう。それはどんな舞台をもたらすのだろう。
 構成・演出   浅川 安子


ひとこと・ヒトコト・一言(出演者より

●晶子の、心の底をさらけ出して歌う情熱や、女の無意識の中での計算としたたかさに圧倒されてしまう(池田桂子)



●悪戦苦闘の日々です。人を愛することは善と捉えましょう。屈折しながらも媚びることなく生きていたい。(木村 弘)




●新しい詩歌の世界を体現し、家からも因習からも自分を解放して生き切った晶子の凄さ! その力の源は鉄幹への終始変わらぬ恋心だったのか。鉄幹と出会う20代のはじめから晩年までの晶子を表現できたらなあ。(野辺明子)



●自由な言葉で世の中に発信し続け、世論の強い批判にも屈することなく過ごした意思の強い晶子。三人のロマンを求めた日々を、なんとか皆様に伝えることができますように練習してまいりました。(岩渕久美子)


●頑迷固陋な地方に住む父親役、こうかつそうな大阪商人など、くせのある人物表現に苦心しましたが、いかがでしたでしょうか。初めての声の会での出演は、楽しくもあり、悔しくもあり、貴重な経験でした。(浦 硯雄)


●まっすぐに、ひたすら真っ直ぐに自分の心に正直に一生懸命に生き、その心のままに感情を表現した晶子。「みだれ髪」の歌を声に出して読み込むうちに、そのエロスさえ爽快感を感じはじめました。(関根洋子)



●当時の女性の生き方において、平塚雷鳥と激しく対立した晶子。世に言う「母性保護論争」その晶子の思いを力強く語りたい。-----この舞台を楽しみにしてくれていた浦和のママ、空から見守っていてね。(富岡百合子)



●「我も雛罌粟 」。パリで夫と再会し、みずみずしい命が蘇った時晶子は歌った。片腕に乳飲み子と片手にペン。11人の子ども。五万首の歌。男女共学を説く論客。何とすさまじいエネルギーで生き抜いたことか。(名越初音)




●以前見た晶子の写真、圧倒的な髪のボリュウームと、しかも現代風に崩した感じが奔放なイメージに見えた。その晶子が、子供を何人も生んでなお夫鉄幹に熱い気持ちを持ち続けたことに感動。(黒澤道子)

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