「流れる星は生きている」 演出ノート@       2007.1.28 浅川

 ○舞台化(台本化)の4つの柱
   ・ドラマ性
     @矛盾だらけのなま身の藤原ていが、困難な状況をどう闘うか
     A周辺人物一人一人のくっきりとした輪郭、葛藤
     B次々の死者(特に子供ーー人形で?)
   ・ドキュメンタリー性
     (時間の流れ、空間の流れを明確に。地図も出す?)
   ・大きなものの存在(天空ーー「流れる星」)
   ・現代性 (我々が今やる意味を明確にする)
          (今、ここに時間が流れているという意識)
 ○これからの流れ
    2月 台本
    5.6月 キャスティング
    7月 合宿(ぐんとうまくなるハズ)
    8月頃から動きの位置、舞台構成、立ち稽古
 ○朗読とは
    @単語としての一語一語を正確に
    A全体の脈絡の中で正確に
    B朗読者に特有の持ち味、情感を十分に出す
    C言葉の中の情感を、声の全ての力で観客に伝える
 ○今回特に心がけて欲しいこと
    @練習には万難を排して出る
     (人さまの前に立つ事の厳しさを安易に考えてはいけない)
    A滑舌、言葉のめりはり等、自分の課題を意識し、克服のために毎日30分練習する
    B原作を繰り返し読むこと(台本は5分の一程度、その背景は原作にある)
    C自分の朗読ぐせを一掃する
     (長年やっているとクセができる、そこから自由になること)
    D朗読は他人事のように語らない(今、ここにある現実として)
    Eいかに描写するか(聞いて全てが腑に落ちるように)
      それには想像力をフルに働かせること、まず自分が状況を理解すること

   

「流れる星は生きている」 演出ノートA       2007.6.24 浅川

  満州引き揚げを深く認識すること

アジア太平洋戦争の惨禍(たとえば原爆・空襲・沖縄戦・シベリア抑留・特攻隊・慰安婦等々)の中で引き揚げ問題はまだまだ認知が弱い事は確か。(なぜなのか)
しかし一方、先般の「引き揚げ六十周年記念の集い」では主催者の予想を超える人が押し寄せてもいる。
まだまだこれから多方面で語られ続けなければなるまい。
いや、我々「声の会」の面々は大丈夫か? どれほど深い認識と想像力を持っているのか?
それが問われる課題だ。

 2 私たちの90分の舞台の意味について

・満州引き揚げの認識を深めるよう観客に訴えることを目的にしない(結果としては欲しい)
・反戦平和を観客に訴えることを目的としない(結果としては欲しい)
・あくまでも表現、芸術の一分野として、声でリーディングドラマを創ることが目的である
これから世にたくさん発せられなければならない満州引き揚げ時のドラマのほんの何万分の一の雫かも知れない90分ではあるが、それをしっかりと果たすこと。
・その中で我々の満州引き揚げに対する視線、人間に対する視線が提示されなければならない
(プロローグ、エピローグ、パンフレットに時代について解説必要)

 3 原作についての評価

・「単なる女の苦労話」に過ぎないだろうか?
・植民地支配の加害者性の認識に触れていないのは作品の弱さだろうか?
・引き揚げ150万人分の1に過ぎない体験談に普遍性はないと言えるだろうか?
・常に選択を迫られながら、生をつかみとってきた捨て身の強さに、現代の我々が学ぶものはないだろうか?
・原作者の複眼(朝鮮人に対して、徳島さんや崎山さんに対して、自分に対して)は、きれい事を書かない、被害者づらをしない、なま身の己をそのままさし出す気迫に満ちたすぐれた視点ではないだろうか?

 4 今我々がとりくむべき事

・自分が担う人間像によくよく思いをこらす事
(どういう歴史をたどった人か? どんなことを楽しみとしたりいやだと思ったりする人か?
何歳か? どんな姿の人か? 一日の暮らし方は?)
・台本をよく読みこむこと
何をその中で語ろうとしているのか、どんな思いでその言葉が発せられたのか
・事は緊急なことなので、早いテンポで語って欲しい
しかし、それが落ち着いて聴衆の胸によく届くようにするためには
 @間 A滑舌 B文脈理解 Cストレートさ 
 D情感(言葉の外に付け加えるのではなく言葉そのものに加える
・自分のくせを発見すること、何が問題点か、テープで自分の語りを聞いてみること

 5 練習はなるべく休まないで!

 6 舞台は皆で作り上げるもの!
   船は漕ぎ出した。さぁ向こう岸まで力をあわせて漕いで行こう!
   


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