リーディングドラマ「女三の宮」

 2012年10月8日(月) 彩の国さいたま芸術劇場小ホールにて
 第8回《声の会》公演を上演しました。
 原作 紫式部『源氏物語・若菜』より
 構成・演出 浅川安子  出演者 19名




 紫式部はたくさんの女性にさまざまの美点を献上しているのに、なぜ女三の宮だけはこれほど苛酷にその幼さを強調するのか。学生時代から私は女三の宮に同情的でした。あなたが悪いのではない、あなたのお父様の至らなさなのにと。しかし、思えば『源氏物語』は後半、紫の上も、光源氏も、柏木も、苛酷な認識に向き合わざるを得ないのでした。
 生きることは苛酷なこと。今もまた。大震災、原発事故に遭っていよいよそう思えてきます。これほど「元気」とか「感動」とか「絆」とかの言葉を人々が求めるのは、それらが希薄になっていることへのあえぎなのでしょう。
 私たちはどこへ行くのか。『源氏物語』はたくさんのことを語ってくれているように思われてなりません。
                                              浅川 安子


出演者から
・「この世から私という者を消し去ってしまいたい・・・。」生きてゆく力がなくなることがある。苦悩の果てに見えてくるものがある。そして新しい私と出会う。(石垣)
・今回の作品で一番好きな言葉。「泣けば心がなだめられます。」源氏物語も今も同じなんですね。(黒澤)


・これって私のせい? だけど姫宮様はうぶすぎるし〜 柏木様は源氏の君のストレスに負けてしまうし〜 でも、おもしろい展開だったでしょう? ウフフフ (鬼久保)
・娘の幸せを願い、これ以上の人はいないと決めた結婚。それなのに・・・。いつの世も、人の思い通りにはいかないものなのですね。(村田)


・小侍従の一人として語ります。女三の宮を守る側の人間として場面展開ごとに登場し、状況説明をしつつ、物語を進行させていきます。千年昔の古典世界を私たちの日々のドラマと重ねながら語ることができたら。(野辺)
・愛しさと憎さ、本能と理性、希望と絶望、すべての相対する感情。それらが詰まりに詰まった作品になっています。(山本)


・台詞の言い回しが気持ちとなかなかつながらない。リーディングドラマ。う〜ん。難しい!!(岡本)
・平安時代の物語、紫式部がきらびやかに書き表している。この時代の文化の中でかな文字の発明があった。これがなければ、源氏物語もなかったかもと言われている。その源氏物語の奥深さが伝わりますように。(岩渕)


・初めて参加した朗読劇、演ずること、表現することのむずかしさに右往左往した一年間でした。(長)
・誰が幸せで誰が不幸なのか。何が正しくて何が間違いだったのか。現代の基準では計ることのでき名世界! ボタンをかけ直してもう一度物語をスタートさせれば、すんなり収まるところに収まるような気がするなあ・・・ (廣瀬)



光源氏
桐壷院の第二王子。(朱雀院が兄)あまりに光り輝く子どもだったため、臣籍降下して源氏姓が与えられた。
三歳で母が死んだ後、母に生き写しの義母、藤壺の宮の近くで育つ。後、准太上天皇という地位にまで上りつめる。
紫の上の結婚
上流階級の結婚では普通、娘の実家が後見となるが、紫の上は光源氏に十歳のとき強引に手元に引き取られてのものなので、頼れるのは夫だけだった。
しかも紫の上に、源氏との子どもが生まれなかったのも、つらかった。
姪と姪
紫の上は藤壺の宮の異母兄の娘。
女三の宮は藤壺の宮の異母妹の娘。

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