リーディングドラマ「なむあみだぶつ なむあみだぶつ」」

 2018年12月15日(土) 彩の国さいたま芸術劇場小ホールにて
 第13回《声の会》公演を上演しました。
 
 原作 近松門左衛門『堀川波鼓』『女殺油地獄』
 構成・演出 浅川安子  
 美術     辻   憲(画)
         長塚靖史(デザイン)
 制作     中村淳子

 技術協力  (財)埼玉県芸術文化振興財団事業部




 いつの時代でも言葉の魔術師はいるものである。「この世の名残り 夜も名残り 死にに行く身をたとふれば あだしが原の道の霜 一足づつに消えてゆく 夢の夢こそあわれなれ あれ数ふれば暁の 七つの鐘が六つ鳴りて 残る一つが今生の鐘のひびきの聞きおさめ 寂滅為楽とひびくなり」なるほどこう美しく死を語られては、心中がはやってしまうのもわかるというもの。
 
近松がこの世の実在の事件からすぐ人形浄瑠璃に書きおこし、その舞台から人々は興奮と感興をかき起こされる。それは死へといざなわれる事件である。江戸時代、女性は悲しかった。死ぬしかない。血が飛ぶ。まがまがしい血。
 今回手がける二つの作品は、いわゆる遊女が絡む心中ものではなく、武家の、町人の家庭に起こる悲劇である。日本のシェークスピアとも比される近松は、なぜそうなってしまうのか、人間というものの闇をみすえている。ああ、いつの世も同じか・・・。



 ,≪声の会≫公演も14回目を迎えました。言葉って、語るって、心って、どうやって生まれ、どこへたどりつくのでしょう。観てくださって、聴いてくださって、励ましてくださって、いつもありがとうございます。一同老境にさしかかる中、もうしばらく・・・続けられるだけ・・・続けていけたらなあと思うようになりました。今後も私どもをお見守りください。
 構成・演出   浅川 安子


ひとこと・ヒトコト・一言(出演者より

●この世の名残り、夜も名残りと始まり、これからの悲劇を感じさせながら、いつの間にか誰もかれもが、武士の雄に追い詰められていく様を表現できたらと願いつつ、練習に励みました。届くといいなぁ!!(池田桂子)



●ささやかな日常が、破局へと一気に転がっていく。なす術もなく呆然とするばかり。今の世でも・・・。恐ろしいよ、近松さん!(石垣幸子)




●時代を超えて愛される近松作品に関わる、貴重な体験でした。実年齢より格段に若い役どころに、苦心しながらなんとか・・・。思い出深い一年になりました。(浦 硯雄)



●近松物なんて、≪声の会≫に入っていないとめぐり会う機会もなかったろう。またまた≪声の会≫に感謝!?近松の世界を少しでも表現できたか?その一翼を担えたか?心配です。(岡本清)


●門左衛門さんよ〜! 今の世の中、ラインで相手を求めて心中だよ〜 我が子を手にかけるんだよ〜 情も情けもありはしない! なみあみだぶつなみあみだぶつ・・・ 平成最後の≪声の会≫近松作品をご堪能あれ!(鬼久保千春)


●曾根崎心中の名文句「あだしが原の道の霜一足づつに消えていく 夢の夢こそあはれなれ・・」近松の流麗な七五調のセリフで場面が広がっていく。人間世界の悲喜交々を浄瑠璃語りの目で語って行きたい。(関根洋子)



●『堀川波鼓』でお種を演じます。お種は急展開する人生の中で、その感情も激しく変化していきます。平穏な生活では味わえない、あるいは気づけない感情を育てる快感を体験できました。楽しかった!(瀧川文子)


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