リーディングドラマ「銀河鉄道の夜」

 2011年10月22日(土) 彩の国さいたま芸術劇場小ホールにて
 第7回《声の会》公演を上演しました。
 原作 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より
 構成・演出 浅川安子  出演者 15名



 「ミルクの流れたあとだと言われる銀河は一体何なのか」と先生が質問することから、この物語は始まります。そしてジョバンニが、お母さんにミルクを持ち帰ることで終わります。お父さんが帰ってくるという朗報と共にお母さんの病気も治る気配を感じさせて。
 しかし、その代償としてジョバンニは親友を失わなければならなかった。生きるということの不可思議さ、美しさ、苛酷さ、全てがこの物語に紡がれているように思われてなりません。
 そして3月11日。私たちは『銀河鉄道の夜』が単なる”お話”ではないことをひしひしと知らされます。死者の魂がどれほど深く生者を揺り動かし、響きあうか。
 私たちは今回もこわいくらいの思いを抱きながら語り続けます。賢治の思いと私たちの思いが今ほど近づいたことはないのですから。
                                              浅川 安子


出演者から

・ボク達と一緒に ホントの幸いを探しに 銀河鉄道の旅にでかけましょう!(鬼久保千春)
・初めての出演です。「銀河の世界」夢のような、現実のような、そのはざまの賢治の世界観を先輩達とともにおいで下さった方々に少しでも伝えられたらと思っています。(下重光子)




・「たった一人の本当の本当の神様」だけど、みんなそれぞれの神様のもとに汽車を降りて行ってしまう・・・誰の神様が本当か、なんてやっぱり解決のつかないこと。(廣瀬裕子)
・4年ぶりに、《声の会》に参加します。東北大震災を目の当たりにして、紙一重である生と死を生きたたくさんのジョバンニとカンパネルラたちがいることを感じます。人々への敬意を込めて語りたい。(野辺明子)




・銀河の無辺の河原、幻想世界に暮らす鳥捕りは、この銀河鉄道に乗り合わせる人々の未来を知っている。粗野な言動の中に、理想と現実に引き裂かれる少年達への深い慈しみが宿る・・・。少年は遠い昔の鳥捕りでもある。(小川達夫)




・まばゆい光、底の知れない深淵、大切な人への切実な思い、祈り、希望。同郷の作家、宮沢賢治が筆を入れ続けたこの作品に心を通わせて語りたい。(石垣幸子)
・台本を前にして、自分の表現力の乏しさに愕然とし、内面の貧弱さに途方に暮れる。そんな連続だった。この作品を壊しませんように、と祈りながら、試行錯誤の自己探求を続けたのだが・・・。(瀧川文子)



三角標
賢治の時代、測量をするため三角点の上に高い櫓が作られた。そこから星座のイメージが生まれたらしい。
天気輪
東北地方の寺や墓場の入り口付近にある輪の付いた柱のこととも言われている。そこから賢治は非現実の列車にジョバンニを乗せた。

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