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☆リーディングドラマ「とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起」 | |
2014年10月4日(土) 彩の国さいたま芸術劇場小ホールにて 第10回《声の会》公演を上演しました。 原作 伊藤比呂美『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』より 構成・演出 浅川安子 出演者 18名 |
世間に媚びず。自分に正直、言葉が豊かで人の肺腑にストレートに届く独自の語り口を持ち、ひとに真摯であることをいつも自分に問うている。そんな三人の女性にあこがれて、その著作に親しんできた。武田百合子さん、佐野洋子さん、伊藤比呂美さんである。残念ながら前のお二人は向こうの世界に旅立ってしまわれたが、伊藤氏は今りんりんと活躍し、次々と著作を世に問うている。詩人でありながら、その関心事の広さにも仰天してしまう。身辺のこと、言葉のことは勿論、育児のこと、人生相談、料理本、植物のこと、仏教の経典のこと etc、etc・・・ そして今回の『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』。これは紫式部文学賞と萩原朔太郎賞をダブル受賞した。伊藤氏のなま身からあふれ出る言葉の豊饒さの故だろう。 日本語の豊かさに触れると、どうしても人に伝えたくなる。リーディングドラマとして造形したくなる。今回、その造形が伊藤氏のご満足を得られるものとなったかどうかはわからない。 しかし、人が生きていく上で困難の一つもないという人はそうそういなかろう。苦が、身に突き刺さるとげとなる。そのとげに一生懸命、私たちはつきあっているのではないか。そういったおのれの人生をいとおしみながら、私たち、生きて、生きて、生きてゆきましょう。(ね、ね! ね!!) 浅川 安子 |
出演者から ・とことんやって、自力の及ばないところは「お地蔵様!」と一心に祈る。道が開けてくるような気がする。(石垣幸子) ・はじめて声の会に参加させてもらいました。地蔵という人間じゃない役を人物なりに考え、右往左往しながらこの役に取り組みました。どうぞ飽きないで、最後まで見守って下さい。(岡本大輔) |
・「その上空は青かった。」このセリフに「空が青くてきれいだね。」と言った母の言葉が重なる。急逝する前日、門口まで見送ってくれた母と二人で見上げた空は、青く澄んで美しかった。母を偲び舞台に立つ。(名越初音) |
・親の介護に夫との関係、子どもとの関わりと、今回のテーマはどれをとっても身につまされる。身近で重い問題を抱えながら、それでも私たちは、生きて、生きて、生き抜こうと、決意することになる。(瀧川文子) |
・92歳の母の介護の真っただ中。母とともに、とげ抜き地蔵に寄り添って、身体のとげ、心のとげを静めてほしいと願う今日この頃です。(池田桂子) ・今回の公演で第10回になります。皆様方のご厚意に感謝いたします。私事にもいろいろな変化がありました。この度の作品の心の葛藤を、なんとか心地よく響かせたいと思います。(岩渕久美子) |
・♪ありのままの〜 人生をうたうと詩になる。凡人はぐちに、ボヤキになる。比呂美の生きるパワーは祖父母のDNAか? 人それぞれいきるすべてが詩になる。楽しもう人生を! 今日だけでもカミさまお助けを! (鬼久保千春) |
・芝居で人間以外の役を演じたことがありますが、今回は朗読で人間の役。それも初めての外国人役。思想の違いの理解に難儀しています。(新井巌男) ・高校生の時、演劇部に入っていたのですが、その時は老け役ばかり。まあ、高校生がやるのですから老け役も若い役もないでしょうけど、今は無理して老けなくても老け役ができる年齢になっていました。(岡本清) |
・生きる苦、老いる苦、病む苦、死ぬ苦を真正面から受け止めて、詩人伊藤比呂美はあふれでる魂を詩に集結していく。比呂美はあまたの苦に身をよじらせながら、お地蔵様の慈悲にひと息ついて、道筋を見つけ前へ前へと進んできた。(塗矢芳恵) |
さて。 今日は二十四日。 年取った女がわらわらとわいて出る。 腰を曲げて 灰色の細かい柄の着物を着て 胸をはだけて、緩く帯を締めて 腰を曲げて 地下鉄の入り口へ吸い込まれ 巣鴨のとげ抜き地蔵へ集まってくる。 |
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