リーディングドラマ「我は女なり 大つごもり・十三夜」」

 2016年10月15日(土) 彩の国さいたま芸術劇場小ホールにて
 第12回《声の会》公演を上演しました。
 原作 樋口一葉『大つごもり・十三夜』より
 構成・演出 浅川安子  出演者 18名



 一葉さん、お夏さん!!
 「たけくらべ」の終わり、美登利は「ええいやいや、大人になるはいやなこと」と言う。「にごりえ」のお力も、「ああ、いやだいやだ、〜つまらぬ、くだらぬ、おもしろくない、情けない、悲しい、心細い中にいつまで私は止められているのかしら、これが一生か、ああ、いやだいやだ」とのたうつ。
 そして今回の「大つごもり」。お峰はつらや、悲しやづくめの、はした女である。「十三夜」でも、お関は、いっそあの鬼のような夫の元へ帰ろうかと思案して、「ええ、いやいや」とくずおれんばかり。その昔の男、録さんも、お関に出会って「お客様を乗せようが、空車のときだろうが、いやとなると容赦なくいやになりまする」と言う。
 本当に一葉の作品は、いや いや いやの人生ばかりなのだ。「いや」からドラマは展開したり、「いや」へとドラマは終焉したり。だが、その明治の「いや」は、私たちの「いや」とつながってはいないだろうか。私たちもまた、ままならぬ人生をかかえてしまって、うんうんうなって生きている、のではないか。

 ≪声の会≫公演も、12回目となりました。日本語の力をどこまで声に変えられるか、格闘しています。言葉って、語るって、心って、どうやって生まれ、どこにたどり着くのでしょう。
 観てくださって、聴いてくださって、励ましてくださって、いつもありがとうございます。どうかこれからも≪声の会≫をお見守りくださいませ。
                                     構成・演出   浅川 安子


ひとこと・ヒトコト・一言(出演者より

●彗星の如く明治中期の文壇に現れ、24歳で夭折した一葉、その不朽の名作を現在に蘇らせるという壮大な実験に新人会員として参加するも、気持ちは空転、果たして聴衆の共感を呼びしか。(浅川章)



●お節介で、したたかなオバサン役、自分でも楽しみながら、十分表現できたらと思ってます。このオバサンを見て下さい。(池田桂子)
●お峰もお関も明治の女性。家や家族の為に辛抱強く耐えて生きるが・・・ 私ならどう生きるのかな〜(村田里美)



●放蕩息子とそれに甘い夫にジリジリし、金銭に厳しくお峰にも口やかましいご新造。山村家を守るのは私だ、と気負う強さと、孫の誕生にウキウキもする甘い一面と。そうした多面性を声の
高低と幅でだせたら、と。(野辺明子)



●五千円札の樋口一葉の顔には、しわもしみもない。亡くなったのが24歳とはいたましい。貧しさは人一倍経験し、生活費を作るために通った質屋さんからは、葬儀の時に香典が届いたと言われている。(岩渕久美子)


●大金持ちの、ロクでもない馬鹿息子、石之助の役をやらせていただきます。身勝手なやくざ者です。商社で働いていたので、イメージはつかめると思いましたが、真面目すぎてつまらないと叱られてばかりです。(大麻眞理)
●声、視線、姿かたち、どれも一筋縄ではいきません。(村山協司)

●「誠に我は女なりけるものを何事の思いありとてそはなすべきことかは。」(一葉日記から)多くの作品が24歳で死ぬ前の二年間に書かれているという。余韻を残した言葉は、私たちに何を問いかけているのだろうか。(関根洋子)



●一葉さんが今の時代に生きていたら、どんな作品を書かれたのか、現代の女性をどのように描写されるのか、興味津々です。(藤井裕子)
●「一葉の 世界に触れて 初舞台」 リーディングドラマデビュー頑張ります。(富岡百合子)



●県知事にまで出世した渋谷と結婚していたら、一葉の人生は大きく変わっていたでしょう。しかし、貧困の中から絞り出した珠玉の名作は生まれなかったでしょうね。ちなみに貧乏町初音町は今もあるのかしら。(名越初音)




●お世話になった伯父一家を思うお峰のひた向きさや悲しさを、何とか表現したいのに、体も声も言うことをきかない。でもこの葛藤こそが贅沢。来て下さるお客様に、感謝の気持ちで語りたい。(黒澤道子)

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