リーディングドラマ「渡るにゃ怖し渡らねば」」

 2019年9月21日(土) 彩の国さいたま芸術劇場小ホールにて
 第15回《声の会》公演を上演しました。
 
 構成・演出 浅川安子  
 美術     辻   憲(画)
         長塚靖史(デザイン)
 制作     中村淳子

 技術協力  (財)埼玉県芸術文化振興財団事業部



月はこうこうと照っている

 一葉22歳『おおつごもり』。23歳『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』。24歳『わかれ道』。この年11月23日、肺結核のため亡くなる。このわずかな生涯の中で、22の短編と、40数冊に及ぶ日記と4000首を越える和歌を残した一葉の奇跡。
 『たけくらべ』が出た時は森鴎外をはじめ明治文学界から絶賛された。しかし貧しかった。体はぼろぼろだった。その中で「書くこと」の奇跡。
 一葉は明治の女の最上層から最下層までを知っていた。心を共にしてきた。女のもだえを共にもだえた。一葉作品が現代に生きる由縁である。
 今回の『わかれ道』と『にごりえ』は最下層の物語。「ああ、いやだいやだ」とうめくしかない人生の先づまり。しかし、生きるってそういうこと・・・。私たちは満幅の思いで一葉を受け止め、何とか声に出して語りきろうと必死でまいりました。たしかに『にごりえ』はそうわかりやすい話ではない。謎に満ちている。でも解釈は多様であっていい。それぞれの人生の中で、それぞれの心の揺れを残していただければいい。

 いつも応援ありがとうございます。どうぞ今後とも≪声の会≫をお見捨てなく・・・
 来年はいよいよ深沢七郎『楢山節考』をやります。
 構成・演出   浅川 安子


ひとこと・ヒトコト・一言(出演者より
●一葉の名の由来、達磨が一枚の葉に乗って、長江を渡る絵から「お銭(おあし)がない」と洒落で一葉とつけたと聞く。その生活苦の一葉、我が身を投射しているのか、朗読していると切なくなる。(池田桂子)



●針仕事を生業とする一人暮らしの若い女。多くを語らないお京の寂しさつらさを、どうしたら表現できるのだろう。(黒澤道子)




●16才の暴れん坊を60代のおばさんが!! 姿形ではない!! ことばの持つ意味を伝えなければ!! う〜〜ん苦しいよ〜〜!?(鬼久保千春)




●心が晴れない、生きづらい。そこから抜け出そうともがくお力。この今日的な精神世界を、23才の一葉が小説に描き明治の世に現した。底辺に生きる人々に寄り添い続けた一葉だからこそ!(石垣幸子)


●おかれた状況を悩み、迷いながら現実に生きそして決断してゆく。『わかれ道』のお京、吉。『にごりえ』のお力、源七。その他の人々も・・・。私の役はお力の心の中の葛藤!!きっと一葉もそうやって必死に生きて死んだ。(関根洋子)


●我が幼子に「お父っちゃんは嫌い」、ずしりと胸に突き刺さる。気丈な妻の頑張りにゃ、亭主面もおぼつかず、ふられた女に未練タラタラ、無様な源七。お初と太吉の幸せなその後を願うばかりです。(高橋雄二)



●早いもので、十五回目の出演です。実生活の自分では決して発しない言葉を、朗読では語ります。それが面白い。今回は三人で演じるお力の一人。お力の言葉に私のたゆたう魂をのせて届けたいと思います。(瀧川文子)

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